2週に渡ってお送りしております、実習生の作文紹介。

今回は昨年の全国大会で入賞した王苹さんの作文です。

 

 

 

「母として」

 

約2年前に、私は2歳の息子を両親に頼んで、来日しました。子供のために、何かあっても、一所懸命頑張ろうと自分なりに覚悟したつもりでした。

けれども、現実は甘くありませんでした。来日前、中国で5ヵ月勉強した日本語が、どれほど足りないのか、毎日実感していました。言いたいことは言えないし、指示なども聞き取れない日が長く続きました。それから文化の違いと生活習慣の相違がそれだけのプレッシャーになることは来日する前は想像もしませんでした。

それより、もっと辛いのは息子と母親に会いたい気持ちです。吉幾三さんの「かあさんへ」とよく聞きました。聞くたび涙を流せずにいられませんでした。母に会いたい辛さ、自分の事を思う息子の気持ちを考えると、もうたまりませんでした。

その中で、ある日、中国に居る息子が病気になった知らせを受け、「子供が辛いのに、母親としてそばにいてやるさえできない」と思うと「実習を諦めて、中国に帰る」と電話の中で私は自分の母親に叫びました。その後「しっかりしなさい」と怒られました。「自分が選んだ道を中途半端にし、あなたはどうやって自分の息子に説明するつもりなの?あなたの息子もあなたの真似をし、これから何かあった時、すぐ逃げてしまう人間になるよ、それでいいの」と言われました。「それから、幸福も不幸も思い一つですよ。自分が幸せだと思い、楽しいことを見つけ、楽しそうに暮らせば、それは幸せだし、自分が不運だと思い、毎日暗いことしか見えない、前向きな気持ちも持てず、良くなる努力もしなければ、それこそいいことが来ないよ」と初めて母に電話を切られました。

けれども、これは私の新しい実習生活の始まりでした。母に叱られ、私は目を覚ましました。確かに、私の今までの人生は逃げることばかりでした。自分が選んで、また自分から諦めることが多かった。私の子供が私の姿を見ていて、無意識のうちに真似をすることは絶対嫌だと思いました。

私は自分を変える決心をしました。泣くことをやめ、楽しい事を見つける努力をしました。あれからよく会社の人と話をするようになり、日本の文化に触れる喜びを知りました。またテレビを見るようにして、家に居ながらも日本の美しい景色を見ることができました。それから旅行にも行きました。京都のお寺や大阪のユニバーサルスタジオに魅了されました。一所懸命頑張った自分のご褒美として、時々美味しい料理を食べにも行きます。美しい料理、綺麗な景色、頑張っている私を写真にし、家族に送りました。それが家族への一番のプレゼントだと母に言われました。元気になった私の影響でしょうか、父も母もそれから息子まで元気になり、私がそばにいないのに、毎日楽しそうに暮らしています。

母の言う通りでした。人間は幸せでも不幸でも自分お思い一つで決まってくるかもしれません。それを体験できたこと、すごく幸運だと思います。また何事も諦めずに頑張ることだけは息子にもそうなってほしいと母として、切に願っています。

 

王苹

 

素晴らしいですね。

王さんは確かに、最初の頃はあまり喋らず、日本語も心配なほどでしたが、ある時を境にすごく明るく笑顔で話をする様になってたので、凄いな~と思っていたら、こういう事があったのだな!と作文を読んで得心がいった次第。

今は弊社実習生グループのリーダーとして、しっかりまとめていってくれています。あと半年ですが、一緒に仕事も遊びも頑張って、いい思い出を持って中国に帰って欲しいと、日本の兄(爺?)として、切に願っています。

 

最後に、王さんに好きな歌、吉幾三さんの「かあさんへ」をどうぞ。